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白癬(水虫)・爪白癬

 

水虫とは?

水虫とは?水虫は、正しくは「白癬(はくせん)」と言います。カビの一種である白癬菌が、皮膚に感染することで発症します。白癬は足だけでなく、爪や手といった全身の皮膚に生じます。一般的に、足の白癬は「水虫」、体の白癬は「たむし」、陰部の白癬は「いんきんたむし」と呼ばれることが多いです。
日本人の5人に1人は足白癬、10人に1人は爪白癬を発症するとされており、ごくありふれた病気と言えます。

水虫はうつる?原因は?

水虫はうつる?原因は?白癬菌はカビの一種のため、高温多湿の環境で増えやすい傾向があります。白癬菌の栄養源は、角質に含まれるケラチンというタンパク質です。そのため、靴で蒸れやすく、角質が厚い足は白癬菌の繁殖に欠かせない栄養源が豊富であると言えます。

なお、体や陰部の白癬は、「銭湯やプールでうつされた」と言う方も多いですが、そのほとんどは自分の足にある水虫が原因です。自身の水虫に気づかず、あるいは気づいても治療せずに放置してしまうと、足から体に伝染する確率が高くなります。

そのほか、頭の白癬に関しては、自身の足から拡大して感染する以外に、柔道やレスリングといった格闘技で感染するケースもあります。さらに、イヌやネコなどのペットから白癬菌に感染することもあります。

水虫は自然治癒するの?

水虫は、基本的に自然治癒することはありません。一時的に症状が落ち着くことはありますが、白癬菌は患部に潜み続けます。そして、高温多湿といった環境が整うと、再び活性化して増殖を始めます。水虫が繰り返し発症しやすいといわれる所以も、根本的な治療がなされないことが多いからです。

そのため、水虫の治療は、クリニックへの相談が一番の近道です。水虫に効くといわれる民間療法を耳にすることもあるでしょう。ですが、現時点で有効性を認められたものはありません。

そもそも、確実な水虫の見分け方はありません。水虫に似た皮膚炎や、かゆみのない水虫も存在します。まずは皮膚科を受診して、正しい診断を受けるようにしましょう。

水虫の種類と症状

水虫の症状と種類には、下記のようなものがあります。

足白癬

足白癬は、大きく分けて3つのタイプに分類できます。

足白癬

趾間型

最も発症しやすいのは、趾間型です。趾間型を発症すると、指の間が白くふやけたり、皮膚がボロボロと剥けてきたりします。悪化すると、痛みを伴うことも少なくありません。

小水疱型

小水疱型に罹患すると、小さな水疱が土踏まずや足の縁にできます。水疱が破れて皮膚がめくれるため、かゆみを伴うことがあります。

角質増殖型

角質増殖型には、踵や足の裏がカサカサと乾燥して、硬く厚くなるといった特徴があります。かゆみを感じることはほとんどありません。

爪白癬

爪白癬は、大きく分けて4つのタイプに分類できます。

爪白癬

遠位側縁爪甲下爪真菌症(DLSO)

代表的な爪白癬のパターンです。爪白癬の9割はこのタイプとされています。感染経路は、爪先端や爪の側縁から白癬菌が侵入することです。また、感染が確認された混濁部は、根元に向かって拡大する特徴もあります。

表在性白色爪真菌症(SWO)

2番目に多い爪白癬のタイプとされています。白癬菌が爪甲表面の傷口から侵入して、感染を引き起こします。表在性白色爪真菌症は、点状や斑状の白濁が特徴です。

近位爪甲下爪真菌症(PSO)

最も発症例の少ないタイプです。白癬菌が、爪の根元に侵入して感染します。なお、感染部位は爪の成長と一緒に、先端に拡大する特徴があります

全異栄養性爪真菌症(TDO)

白癬菌の感染が爪全体に拡大したものです。爪甲全体が混濁して、厚みを持ちます。

体部白癬

体幹部や顔、首、腕、足などに発症し、ポロポロと皮がめくれる症状が現れます。初期症状によく見られる、赤く盛り上がった小さな発疹が特徴です。症状が進行すると、輪を描いたように、辺縁が環状に赤く盛り上がる発疹に拡大していきます。また、多くの場合、強いかゆみを伴います。

頭部白癬

頭部白癬を発症すると、楕円形に髪の毛が抜けやすくなります。また、皮膚の表面にフケのような細かい鱗屑が出てくるところも特徴の1つです。かゆみといった自覚症状は、ほとんどありません。

水虫の検査方法

水虫の検査は、顕微鏡で白癬菌の有無を確認するため、爪の一部や剥けた皮を採取する必要があります。なお、検査は5分程度で終了します。
市販の水虫薬を使用してしまうと、正しい検査結果が出なくなる可能性があるため、2週間以上使用を中止してから検査しましょう。

水虫の治療

水虫の治療は、部位や症状に応じた外用薬を中心に行いますが、爪白癬や頭部白癬については内服療法が第一選択となります。

外用薬

基本的に外用薬は、足は1日1回、それ以外の部分には1日1~2回塗布する必要があります。なお、入浴後に使用すると、皮膚がふやけて薬が浸透しやすくなります。入浴後の塗布が一番効果的な方法ですが、難しい場合には、寝る前や靴下を履くタイミングで使用しましょう。毎日きちんと継続して、外用薬を塗り続けることが大切です。

外用薬には、内服薬のような全身的な副作用はありませんが、爪の周りが薬でかぶれることがあります。(足や体に塗るクリーム、軟膏タイプもかぶれることがあります)。爪が生え変わる6ヶ月~1年以上は塗り続ける必要があるため、気になる際には処方を受けた医療機関に相談しましょう。

外用薬

内服薬

下記のようなケースでは、内服薬が必要になることがあります。

  • 外用薬では治療困難と判断した爪白癬
  • 外用薬の効果が出にくい角質増殖型の足白癬
  • 頭髪や髭といった、毛のある部分に白癬菌が感染している

現在日本で使用されている内服薬は、3種類(ホスホラブコナゾール、イトラコナゾール、テルビナフィン)です。患者様のライフスタイルやご希望に合わせて選択します。なお、白癬の完治が確認できるまで、3ヶ月~半年程度の内服が必要です。

内服薬のリスクには、肝機能障害や貧血などが挙げられます。そのため、内服期間中は定期的な採血を行い、副作用をチェックします。